新連載
シーバスに対してガチンコ勝負を挑むアピアプロスタッフ。多くのアングラーの目標である「ランカーシーバス」に対してのこだわりも強い。ランカーハンターとして名高い濱本国彦さんと松尾道洋さんが、ランカーを夢見るアングラーのために贈る本連載は、ランカーに出会うための手引書となることだろう。
ハードルの高い
テーマが決まる…
11月5日。下弦の月へと向かう小潮初日から2日間にわたり、アピアで同じ釜の飯を食っている濱本国彦氏を迎えて、僕のホームである広島市内河川で本誌の取材を行なった。例年この時期ならば、さほど神経質にならなくとも取材を成立させることができるのだが、今年は気温や水温の低下が著しく遅れており、水の中も例年とは様相が少し違う。特に秋のメインベイトであるコノシロが、川の中流〜上流へと溯る光景をなかなか見ることができず、ベイトありきのシーバスゲームを展開するアングラーにとっては、やや不安な状況が続いていた。
河川が本格的に始まったと表現できる材料として、下げで釣れるシーバスのコンディション(主にウエイト)がひとつの大きな目安となるわけだが、このウエイトの増加を助けるのは、サヨリでもイワシでもなく、今はコノシロなのである。日常的に夜の河川を渡り歩いている僕も、今年はまだウエイトの乗った素晴らしい個体のシーバスを下げ潮では数本しかキャッチできていない状況で、やや不安な状況のままに今回の取材へとなだれ込んだ。
力を失ったコノシロの群れが上流から流れ落ち、シーバスがそれをねらってある一定の場所に定位し活発に捕食し始めると、いよいよ河川のシーバスゲームは最盛期を迎えたと表現することができるのだが…。そういった状況下で都合2日間にわたって、濱本さんと昼夜を問わず河川を走りまわったのが今回の取材である。
まずはこの日の打ち合わせ。アピア代表の宇津木さん、濱本さんと合流し、宿泊ホテルからほど近いモスバーガーでコーヒーを飲みながら、誰からともなく口を開く。実はアピアの取材はテーマが設けられることが多く、実釣はそれに沿った形で進行していくことが常となっているのだが、今回、テーマや目標を決める話の過程で、冗談半分で僕が口にしたことが目標として採用されてしまった。
その目標とは、「2日間でシーバスの合計長寸10mを目指す」というもの。さらに、50cm未満はカウントされないという宇津木さんの注釈付きルール。単純計算すれば80cmアップを13本揃えてようやく10mに到達する計算となり、今の広島河川の状況ではかなり高めのハードル設定と言える。ほんと、面白半分でうっかりしたことを口にすると、とんでもないことになってしまうものである。とは言え、この取材は今月から始まった連載「シーバス・ランカークラブ」一発目の取材でもあるため、秋のハイシーズンに見せる河川の爆発力を読者へ伝えたいという思いも強い。濱本さんと僕の2人で、何としてでも成し遂げたい記念すべき最初のお題である。