Theme.02 メーターオーバーへのアプローチの考察

シーバスランカークラブ

theme.02 メーターオーバーへのアプローチの考察

文・松尾道洋(ランカークラブ副部長)

メーターオーバーを釣るために必要なファクターは何か? 釣りは自然相手であるという大前提がありながらも、結果を左右する事柄がいくつかあるはず。濱本&松尾の考察や普段の釣行から、メーターオーバーへのアプローチに反映できる共通点を探り出して見よう。

エリアの選択は情報戦から?

全国的に見ると地域差というものが必ず存在する。魚影の多さと同様に、シーバスのサイズ(アベレージ)も地域によってムラがあるのは確か。また、メーターオーバーの実績を積めば積むほど、そのフィールドはアングラーの出入りが盛んになり急激に開拓が進むため、メーターオーバーを取り囲む必要な情報網が飛躍的に拡大されることになる。ポイント情報や攻略の指南が開示されれば、後は純粋に技術のみが残される形になる。

昔と大きく違うのは、インターネットによる情報伝達の速さ。ブログやHPよりもさらに即効性があり、リアルタイムで状況を拡散できるツイッターやfacebookを中心としたSNSの普及がエリアの開拓を手伝っているといえる。同じアピアプロスタッフのマサッチ(村岡昌憲)もいっていたが、釣り人には多かれ少なかれ自己顕示欲というものが存在しており、知って欲しい・見て欲しい・共感して欲しいという顕示欲がある以上、本人の思いとは裏腹に自然と情報は開示されて徐々に広まっていくものだろう。

ここで釣り人の種は大まかに2つに分類される。ひとつはそういった情報を有効に生かすこと。もうひとつは、それが手っ取り早い近道と知りながらもあえて遠回りする道を選ぶ(プロセスにこだわる)かである。これはあくまでも私見だが、まずは前者の道を選択してみるのもよいのではないか? と思う。こだわることはすごくカッコイイが、その陰でじつはもっと大事なこと、たとえば協調性や常識(マナーなど)を、情報に目を向けることで初めて得るということも多分にあるはず。ちょっと話がズレちゃいましたが…、とにかく、まずはメーターオーバーの実績エリアへ足を運ぶことが最優先!

松尾道洋 ランカークラブ副部長

釣れる時期

基本的には周年ねらえるが、メータークラスのランカーシーバスが集中して釣れるのは、全国的にみてもやはり秋と春。この時期に集中する原因は様々だが、やはり一番の理由は越冬時期と同時に産卵が絡むからだろう。秋のプリスポーニングはスポーニングに備えてベイトを際限なく捕食する行動を見せ、活発的に河川にも遡上するために釣りやすい。産卵に絡む個体、中でも80㎝以上のシーバスはほぼ全てが雌であるため、秋の産卵期に大型が釣りやすくなるのは至極当たり前のことである。これは春先のアフタースポーニングにも当てはまる。

以上が時期的な話だが、これはあくまでもマルスズキの話である。ここで少しタイリクスズキの話に触れたい。今現在、国内でキャッチされている110cmオーバーや10kgを超す個体のほとんどがこのタイリクスズキだろう。

タイリクスズキは側線部分を中心に黒い斑点が点在しており、現在は側線部分よりも下に斑点がひとつでもあればタイリクスズキと「見分け」られている。顔つきもマルスズキとは全然違うのだが、あくまでも見分けるということではここがキーとなっている。

このタイリクスズキに関しては諸説あるのだが、日本では産卵しないともいわれている。タイリクスズキ自体が外来種であるためにそれを盾として存在を正当化しているのではないかと勘繰ってしまうが、日本で捕獲される個体は生殖機能が発達していないものが多いというのは事実のようで、少なくともマルスズキほど密接に季節に応じて産卵に絡むことはないのかも知れない。

産卵に絡まないということは、マルスズキよりも周年通してメーターオーバーをねらうことができるのだが、いかんせん生息域が限られていることと個体数の少なさから、データも不足しており、パターンを確立して再現性を持たせるのはなかなか難しいのが現状である。

ただひとつ特徴的なのは、マルスズキよりも塩分濃度の薄いエリアを好む傾向が見受けられること。汽水域はもちろんだが、河川の中・上流部でのキャッチが比較的多い。また、これはあくまでも瀬戸内をメインに釣行している私の個人統計(広島・山口において)だが、泥質よりも砂質で形成された河川に遡上してそのまま定位する行動が見られ、比較的ねらって釣ることができるのが雨量の多い6〜8月である。ただし、流域面積が大きければ良いという単純な構図ではなく、むしろ小規模河川での雨季に期待できる。捕食行動はマルスズキよりもアクティブで、大きく水を動かすことで比較的容易に捕食のスイッチが入るために、マルスズキよりは少し大胆な攻め方で攻略できる。

濱本国彦 ランカークラブ部長