流す釣り?
流す釣りという表現が定着したのは最近だろう。ここ5〜6年くらいだろうか?
アップクロス主体の釣りで、ルアーの向きやラインメンディングに重きを置いて河川を攻略するテクニックのひとつで、その対極にあるのがダウンクロスである。私も濱本さんも、釣りの主体はこのアップクロスである。釣行エリアが違うにも関わらず、である。
ダウンクロスでランカークラスをねらい撃つスタイルのアングラーもいるが、その要点だけをかいつまんでみると、実はほとんど同じコンセプトで釣りを組み立てていることが多い。
アップクロスはより自然にターニングポイントまでの布石を含めてナチュラルにルアーを見せることに重きを置いて釣りを組み立てているのだが、ダウンクロスの場合でも、一点集中型、いわゆるピンポイント攻略でその一瞬をナチュラルに演出することを意識してやっているというアングラーもいる。攻め方は違えど、着地点は案外同じということ。
ただ、ダウンクロス主体のアングラー全てがそれを意識しているかといえば、それはNOだと思う。いわゆる、投げて巻くという一連の動作を延々と繰り返している場面も多いだろう。一方、アップクロス主体のアングラーは目的や意図がはっきりしていることがほとんどである。メーターオーバーを高い確率で釣るためにどちらがどうということはないと思うが、私自身はアップクロス主体でゲームを組立て、その延長で獲ったメーターオーバーが多い。
モンスターハントのタックル
メーターオーバーを手にするために必要なスペックは何か? これは強さではなくバランスだろうと思う。魚に合わす以上にフィールドに合わすことを意識するといえば良いだろうか。
メーターオーバーのパワーを受け止める強さは当然必要だが、至極極端な話をすれば、ドラグが延々と出せるような状況ならばどんなタックルでも獲れる。でも、そんな甘い環境というのは実際にはほとんど存在しておらず、全国津々浦々、フィールドはアングラーにとっては不利な状況であることが多い。
シーバスというただの一魚種に対し、レングスやパワーやテーパーが細分化されているのは、多岐にわたるシチュエーションに事細かに対応できるようにするためで、その部分を理解して自分のスタイルに合ったものを選択することでメーターオーバーを捕獲することができるのだろうと思う。その土地に住むフィールドテスターが自分の最も得意とするメインフィールドで監修したロッドやアイテムは、そういった意味においても理に適っているのではないだろうか。
メーターオーバーへの思い
濱本:夢であり、究極の現実であり、釣りたくても釣れない、出合いたくても出合えるチャンスの少ない一尾。でも、普段の釣りから組み立てられる四季折々の攻略から必ず糸口があり、普段出合ってるシーバス達へのアプローチの延長線上にその一尾がいる。日々、想像するシーバスフィッシングの頂点にいる存在。それがメーターオーバーシーバス!
松尾:100cmを超えるシーバスはやっぱり普通の魚とは感じるものが違います。それと同様に、ウエイトの乗った個体も価値があるものと感じます。特に競争率の高くなったここ最近はそう思うことが多くなりました。冷静を装っても、釣ったら自分の体温が上がっていくのが分かる魚です。悔しいです(笑)。
次回Theme.03は現在発売中のSeaBass Magazine 5月号に掲載!